「日本人」たちが
愛した旅館

かつて、宿に泊まった尼が松葉に落ちる雨の音を琴の音色に例えたことから琴水(きんすい)の歴史は始まる。ここで数々の映画監督や文豪たちが筆を執り、映画史や文学史に名を残すこととなる代表作や受賞作を生み出していった。大町桂月、志賀直哉、里見弴、源氏鶏太、木下恵介、小津安二郎、今村昌平、・・・

琴水景色

姫御前の香気

今村昌平(敬称略)は約三十年、脚本を書きに当館に通い続けた。カンヌ国際映画祭で二度のグランプリを受賞した映画監督。彼はかつて、当館のことをこう言った。

「一望に広がる湖の眺めは、美しいが鋭くなく女性的で、
やんわりと姫御前の香気を湛える。

ここの料理も美味い。

四季折々のさかなが、
よき板前の演出によって食前を賑やかに彩る。

人情豊かな宿の人々も、料理も、風景も、
ここは都会人が遥か昔に忘れ去ったやさしさに満ちている。

じっとそのやさしさに浸っているとなぜか飲みたくなる。

ドクターストップなんてことも、
都会の喧騒の中のセコさに思えて、
つい禁忌をやぶることしばしばである。」

今村昌平

ようこそ、琴水へ

宮大工の棟梁だった初代主人が風水にこだわって選んだこの景勝地は鑑定士から浜名湖随一と言われ、また観月の名所としても知られている。紀行文の名手とも言われる大町桂月も一ヶ月ほど部屋をとり、浜名湖周辺を散策しながら「春の浜名湖」という紀行文を書いて、琴水でこのような詩を詠んだ。

布団から あたまだけ出す 初日かな

明治四十年に創業し、百年以上続いてきた歴史。浜名湖のさざ波が耳に心地よく響き、月が優しく微笑む贅沢な時間。そんな大切な時間を和の心で「おもてなし」。

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